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【25周年】機動新世紀ガンダムXを語りたい

私が一番好きなテレビアニメ作品である機動新世紀ガンダムXは、本日2021/4/5で放送開始25周年とのこと。いい機会なので『ガンダムX』について色々語りたいなと思った次第です。言うまでもないですがあくまで1人のファンの主観的な語りです。

インターネット上でガンダムXが語られているときに頻出の語をいくつかピックアップして自分なりの解釈を述べていく形式でやります。

 

ニュータイプの否定
ガンダムXという作品は、ニュータイプという言葉を否定する形で幕を閉じる。ティファが終盤「私は自分をニュータイプだと思ってはいない」と発言したり、D.O.M.E.内部での会話が「ニュータイプなんて無かった」という形で締めくくられるのがそれである。

ニュータイプは存在しない」とは、D.O.M.E.の言葉を借りれば、「『人を超えた力』と、『人の革新』とは別のことである」ということ。さらに言い換えれば、
「テレパシーが使えたり、ちょっとした未来予知ができたりする能力を持った人たちがいるけど、その人たちを見て人類の革新すべき姿だ!と有難がって『ニュータイプ』と呼ぶのは適切じゃないよ」
ということである。ここで重要なのが、主人公陣営のリーダーであるジャミルニートの思想が真っ向から否定されていること。

スパロボとかのゲームのステータスみたいなイメージで「ニュータイプ = 特殊能力」という認識でいると「えっ!?今更ニュータイプなんて無かったとか言い出すの!?」と混乱必至である(筆者も以前は混乱していた)。
宇宙世紀における「ニュータイプ」という概念は、封印された末に廃れてゆくといった展開をたどるようだが、ガンダムXにおいてはガロードの劇中最後のセリフである
ああ、よく知ってるよ。ニュータイプのことなら
という言葉から、また違った結末が示唆される。

 

ガロードとティファ

ガンダムシリーズ屈指のラブラブカップルとして語られることの多いガロードとティファ。特に第29話「私を見て」以降の描写は互いを想う気持の大きさをこれでもかと見せつけてくる。なので逆にこの記事では序盤のガロードとティファの関係を語りたい。

まずは最序盤の1-5話。ジャミルがティファを保護する理由が「ニュータイプであるティファを、道具として利用しようとする連中から守るため」であるのに対して、ガロードがティファを守りたい理由は「好きになっちゃったんだから、当たり前だろ」であり、ティファがニュータイプと呼ばれていることとは全く関係がないガロードがティファを愛する理由にニュータイプという概念が介在していないことは、序盤から終盤まで一貫している。

続いてサン・アンジェロが舞台の5-9話。「エニルの誘いにもなびかなかった」とガロードのティファ一筋っぷりを語る種にされがちな箇所だが、少なくともガロードの主観的にはとても「一切なびかなかった」とは言い難いエピソードだと思う。手を差し伸べてくるエニルに銃を向け、壁に銃弾を撃ち込みながら「次は本当に撃つ。出てけ!」と言ってまでエニルを拒絶したのは確かだが、その時点でガロードはエニルの目的が自分ではなくガンダムであると確信していたことを勘案する必要がある。*1このシーン以前に、カップル客の多いバーでエニルに「私たち、どんなふうに見えるかしら」と言われて頬を赤らめるシーンがあるほか、エニルの元を飛び出した後にエニルの「独りぼっちは寂しいものよ」という言葉を思い出し、「そいつは言えてる……」と独り言つシーンもある。ティファのいるフリーデンのもとへ駆けつけ、エニルとMS戦になり、エニルに「後悔してるんでしょ?」と言われた際は、ガロードは自分を責めるティファを幻視しながら、言い訳をするように「そんなことない、絶対ない!」と否定する。少なくともガロード自身は「エニルの誘惑に対し、一切なびかなかった」と言えないような負い目を感じていることが伺える。

一件落着の後、ガロードはエニルとの間で何があったかティファに打ち明けようとするが、それを悟ったティファは首を横に振って制止する。ほどなくガロードはティファの手に口紅が握られていることに気付き、「なんでこんなの持ってんだ?」と尋ねると、ティファは「秘密、です♪」と応じる。これで秘密はおあいこというわけだ。ティファ、ガロードのこと好きすぎるだろ……

 

・わかってたまるか

ガンダムXの終盤でも特に人気の高いガロードの台詞であり、創作作品のラスボスにありがちな「貴様に何がわかる」へのベストアンサーとしても有名な台詞。こういう手合いは同情するだけ無駄であるというのは間違っていない。

だがここで強調したいのは、ガロードは立場の違う他者の話にも耳を傾け、他者の境遇に思いを巡らせることができる心優しい少年であるということ。力を求めて自ら人工ニュータイプへと改造されることを選んだカリスに対しても理解を示し、種族の違うイルカたちについても「助けてやりたい」と強く主張し、自分が仲間と必死に戦い抜いてきた経験をあろうことか「羨ましい」と言ったウィリス王子の抱える孤独にも思いを巡らせることができる少年なのだ。

「わかってたまるか」よりはむしろ、その直前のガロードの台詞である「誰だって辛いことや悲しいことを抱えて生きているんだ!そんな勝手な理由で、世界を滅ぼされてたまるか!」が軸である。それぞれの人の抱える辛さに向き合ってきたガロードは、フロスト兄弟の「能力を否定された自分たちの苦しみは、戦争を起こして世界を滅ぼしてもよい理由になり得る」という独りよがりが許せなかったのだ。

 

以上です。わかったような口ぶりで語ってごめんなさい……

*1:完品を手に入れれば一生遊んで暮らせるほどの値打ちを持つガンダムではなく、平凡な少年ガロードを目当てにしているエニルが異常なのであって、ガロードが鈍感なわけでは決してない。